上手な贈与の活用方法

1 相続と贈与、どちらが得なのか？
2 生前贈与で押さえておきたい4つのポイント
3 贈与税の仕組みと基礎控除
4 生前贈与の手続きは計画的に

相続と贈与、どちらが得なのか？

「生前贈与」とは、人生のうちに財産を無償で他人に譲ることを指します。単なる「贈与」とも言えますが、遺言による死後の財産譲渡である「遺贈」や、死亡を条件とした譲渡契約である「死因贈与」と区別するための専門的な表現です。生前に贈与を行うことは、相続税の節税にも大きく寄与するため、多くの方が検討するべき方法と言えるでしょう。

生前贈与で押さえておきたい4つのポイント

1. 贈与税と相続税の節税額の分岐点
贈与を行う際には、贈与税と相続税のどちらが有利になるか確認しておくことが大切です。節税の観点から最適なタイミングと方法を計画しましょう。

2. 遺産分割時のトラブル回避
特別受益に関するトラブルを避けるため、生前贈与を行う場合は他の相続人とのバランスにも注意が必要です。

3. 贈与契約書と確定日付の取得
贈与契約書を作成し、公証役場で確定日付を取得することで、法的な証拠力が高まります。

4. 相続開始前3年以内の贈与の加算
相続開始前の3年以内に行われた贈与は、相続財産として加算されることがあります。この点も確認しておきましょう。

贈与税の仕組みと基礎控除

贈与税は1年間で基礎控除額が110万円で、これ以下の贈与については非課税かつ申告不要です。この範囲で贈与を行うことで、財産を少しずつ減らしていくシンプルな相続対策が可能です。また、60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子や孫に対する贈与には、相続時精算課税制度が利用でき、通算2500万円まで贈与税がかからず、相続時にまとめて税額を計算する仕組みもあります（2500万円を超える額には20%の税率が適用されます）。