後見のQ&A
目次
- 1 Q1. 成年後見制度とは?
- 2 Q2. 成年後見制度の種類は?
- 3 Q3. 申し立てができる人は?
- 4 Q4. 後見人に選任されたら最初にすることは?
- 5 Q5. 成年後見人の役割は?
- 6 Q6. 任意後見制度とは?
- 7 Q7. 浪費者は成年後見制度を利用できますか?
- 8 Q8. 成年後見制度を利用すると戸籍に記載されますか?
- 9 Q9. 手続きにかかる期間と費用は?
- 10 Q10. 成年後見制度のデメリットは?
- 11 Q11. 申し立ては自分でできますか?
- 12 Q12. 後見事務の計画で注意すべきことは?
- 13 Q13. 銀行預金や郵便貯金の管理方法は?
- 14 Q14. 不動産管理の注意点は?
- 15 Q15. 判断に迷ったときの相談先は?
- 16 Q16. 後見人の報酬は?
- 17 Q17. 任意後見と法定後見は併用できますか?
Q1. 成年後見制度とは?
成年後見制度とは、認知症や知的障がい、精神障がいなどで判断能力が低下した方を支援するための制度です。家庭裁判所が選任する後見人が、不動産や預貯金などの財産管理や契約手続きを安全に行えるようサポートします。
Q2. 成年後見制度の種類は?
成年後見制度は、以下の2つに大別されます。
- 法定後見制度
判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3つに分類されます。 - 任意後見制度
判断能力が十分なうちに、将来の支援を任意後見人に依頼する契約を結ぶ制度です。
Q3. 申し立てができる人は?
成年後見の申し立てができるのは以下の方々です:
- 本人
- 配偶者
- 四親等内の親族
- 市町村長
Q4. 後見人に選任されたら最初にすることは?
後見人に選任されると、家庭裁判所から「審判書」と「後見人ハンドブック」が送付されます。
まずは以下を行います:
- 財産調査と目録の作成
銀行窓口で預貯金の確認や、市町村で固定資産台帳を確認。不動産登記情報は法務局で取得します。現金や有価証券については家族と協力して探します。 - 収入と支出の把握
所得証明や年金記録を取り寄せ、必要に応じて源泉徴収票を確認します。支出については、領収証や通帳記録を調べます。 - 身上監護の計画
介護や生活支援の内容を整理し、裁判所に報告します。
Q5. 成年後見人の役割は?
成年後見人は、本人に代わって以下を行います:
- 財産の管理
- 法律行為の代理(契約など)
ただし、日用品の買い物や実際の介護は後見人の職務に含まれません。また、後見人は活動内容を家庭裁判所に報告し、その監督を受けます。
Q6. 任意後見制度とは?
任意後見制度は、判断能力があるうちに、将来の支援者(任意後見人)を選び契約を結ぶ制度です。この契約は公正証書で作成され、後に家庭裁判所が任意後見監督人を選任することで効力を発揮します。
Q7. 浪費者は成年後見制度を利用できますか?
浪費者は利用できません。成年後見制度は、判断能力が低下した方を保護する制度であり、浪費を理由とした支援は対象外です。
Q8. 成年後見制度を利用すると戸籍に記載されますか?
記載されません。登記情報は東京法務局で管理され、本人や後見人などが請求する場合にのみ証明書が発行されます。
Q9. 手続きにかかる期間と費用は?
一般的な目安は以下の通りです:
- 期間:3~6ヶ月
- 費用:5,000~10,000円(印紙代・切手代)
鑑定が必要な場合は追加で5~15万円かかります。
司法書士に依頼する場合は、別途報酬が必要です。
Q10. 成年後見制度のデメリットは?
- 取締役などの役職や、弁護士、司法書士など一部の資格に就けなくなる場合があります。
- 手続きが煩雑なため、専門家の助言が必要になることがあります。
Q11. 申し立ては自分でできますか?
自分で行うことも可能ですが、手続きが複雑なため、司法書士や弁護士など専門家への相談をおすすめします。
Q12. 後見事務の計画で注意すべきことは?
- 財産や収支を調査し、近い将来の大きな出費を予測して計画を立てることが重要です。
Q13. 銀行預金や郵便貯金の管理方法は?
口座の名義を「○○ 成年後見人 △△」に変更します(○○は本人、△△は後見人)。手続きには以下が必要です:
- 登記事項証明書または審判書
- 後見人の身分証明書
- 実印と印鑑証明書
Q14. 不動産管理の注意点は?
居住用不動産を売却する場合は、必ず家庭裁判所の許可が必要です。民法に基づき、高い注意義務をもって管理・処分する必要があります。
Q15. 判断に迷ったときの相談先は?
家庭裁判所の担当書記官に相談してください。適切なアドバイスが得られます。
Q16. 後見人の報酬は?
報酬額は裁判所が決定し、本人の生活に大きな影響を与えない範囲で設定されます。報酬は本人の財産から支払われます。
Q17. 任意後見と法定後見は併用できますか?
併用はできませんが、任意後見契約が不十分と判断される場合には法定後見に切り替わることがあります。その際、任意後見契約は終了します。