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堺泉北相続相談室

不動産は本当に節税?

2024年1月31日

 

不動産が節税になる理由

「不動産で相続税対策」というワードをよく耳にします。不動産を用いることで相続税の節税対策となるのは、次のような理由からだと考えられます。

相続税評価額

相続税の課税対象となる価格は、例えば現金1千万円であればそのまま1千万円であるのに対し、その1千万円で宅地を購入した場合、相続開始時の「相続税評価額」で計算され、一般的には、通常取引される価額(実勢価格)に比べて低くなるからです。

この「相続税評価額」の基礎となる路線価(国税庁が公表している土地価格で、相続税を計算する基礎となります。)は、不動産売買の参考価格とされる国交省が公表している公示価格の80%程度とされています。

賃貸物件を建設すると

さらに、この宅地の上にアパートなどの賃貸物件を建築し、これを実際に貸し付けた場合には、その敷地も賃借人の一定の権利の影響を受けるものと考えられ、宅地の価額がさらに減額されることになります。この場合の敷地のことを貸家建付地といい、次の割合について評価減されることになります。

貸家建付地の評価減割合=借地権割合×借家権割合(大阪府の場合30%)×賃貸割合(実際に貸付けしている割合)

一方、建物の相続税評価額は市町村が設定している固定資産税評価額と同じです。この建物の固定資産税評価額ついては、経年劣化等の反映を受けて3年に一度の評価の見直しにより通常は評価額が下がっていきます。この固定資産税評価額については、新築物件の場合、通常建築費の6割程度になっていると言われています。そしてこの建物を貸家として貸し付けている場合、土地と同じく賃借人の一定の権利の影響があるとして、その貸家の賃貸割合に応じて、権利相当分を減額して相続税評価額の計算を行います。

小規模宅地等の特例

次に第2として考えられるのは、小規模宅地等の特例の適用を受けるというものです。この小規模宅地等の特例とは、相続開始の直前における被相続人等の事業用・居住用の宅地については、一定の要件の下、相続税の課税価格が減額されるという制度です。

小規模宅地等の特例-例え

①被相続人の自宅の敷地を配偶者が相続した場合には、330㎡までの部分について80%減額、また②被相続人が営んでいた貸家の敷地について相続した場合、一定の要件の下200㎡までの部分について50%減額されます(①と②を併用する場合、一定の面積制限が設けられています。また、平成30年度の改正で、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地については、相続開始の日まで3年を超えて引き続き事業的規模で貸付事業をしていた人を除いて、特例の適用ができなくなりました。)

不動産相続対策

デメリット

以上のようなことから、相続税の節税対策としてアパート・マンション経営を始めたいと考えられる方が結構いらっしゃいます。確かに相続税対策として有効であることは間違いではないと考えられます。しかし、メリットばかりなのでしょうか。ここでどうしても見逃しがちなデメリットについても考えてみたいと思います。

「空室」のリスク

アパート経営で先ず挙げなければならないリスクは、「空室」のリスクです。この「空室」があった場合には、前記の賃借人の一定の権利の影響を考慮した減額割合(賃貸割合)が下がることになりますし、小規模宅地等の特例の適用にも影響がでます。リスクの影響は税法上のものだけではありません。不動産を所有していると、当然のことながら固定資産税や修繕費などのランニングコストがかかりますし、借入金で不動産を購入している時には将来的な金利の上昇等により返済額が増加することも考えられることから、収入に対するいわゆる利回りも低下してしまいます。

引き継ぐ相続人へのリスク

また、よかれと考えて実行した対策によって、後を引き継ぐ相続人に思わぬリスクまで引き継いでしまうということも考えられます。例を挙げると、アパート経営を始めるに際し借入れをした場合の相続人が負うことになる借入金返済の負担、建物の経年劣化による修繕費用の負担の増加や空室の増加(日本人は新築物件を好む傾向があります。)による賃料の下落のリスクなどです。

リスク回避

このようなことから、アパートやマンションを始める場合には、例えば将来にわたって需要が高いと思われる条件(最寄り駅からの距離、周辺にスーパーやコンビニ、医療機関等があるか、将来的に人口が増加する地域であるか等)を満たす場所であるかを十分検討することが重要となってきます。

まとめ

以上のように、不動産を利用した相続税の節税対策は、すべての方に通用し、実質的な効果が見込めるものではありません。今回掲げた様々な観点等から、そのメリットとデメリットを十分に検討して行う必要があるでしょう。当相談室は相続税対策や不動産節税などさまざまな悩みに対応しています。元国税OBの相続の専門税理士が一人ひとりに適した解決策を提案します。相談は初回無料で対応していますので、ぜひご活用ください。

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