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名義が違えば相続財産ではない?

2023年10月12日

専業主婦のAさんは、夫の給与や退職金の半分を自分の名義に預金をしていました。 夫が亡くなった時の夫名義の預金は2,000万円、Aさんの名義の預金は3,000万円。Aさんは専業主婦で収入はなく、親からの相続した財産もありません。 このような場合、Aさん名義の預金を「名義預金」といい、被相続人(亡くなった人)の財産に含まれるため、相続税申告にもれてしまうと、税務調査・修正申告等の対象となりかねません。国税局国税専門官OBの経験をもとに今回は対策や注意点を解説していきます。

 

名義が相続人でも調査対象

 

税務調査では被相続人(亡くなった人)の預貯金にお金の動きとともに、相続人の預貯金を調べることはよくあります。 生前、病床の夫の預金の名義を妻の名義に変更したケースでは、「急いで名義を変更をしてもらったのですが、これは相続財産に入りませんよね?」と奥さまより聞かれました。ですが、この預金は名義預金とみなされ被相続人の財産に含まれます。祖父母が孫の名義で口座をつくって積み立てるケースも同じく名義預金となります。

<名義預金の判断ポイント>

1.財産の資金源はどこか

2.生前贈与ではないか

3.誰が預金口座を管理運用していたか

1.たとえば、ずっと専業主婦(夫)だった相続人が何千万円も預貯金をもっている場合、その資金源を確認することとなり、形成された預金は被相続人の財産であると判断されるのです。

2.相続人による適切な生前贈与がされていれば名義預金にはなりません。ですが、以下の条件に当てはまる場合は名義預金となることもあるため注意が必要です。

→現金での受け渡し等で贈与の証拠がない。

→相続人が預金の存在をしらない。

「あげたつもり」は贈与にならない(過去のコラム記事)

 

3.預金通帳や印鑑を被相続人が持っていて、名義人が管理していない場合も名義預金とみなされます。それによって利息や配当を受け取っていた場合も、利益の受取が預貯金の運用をしている行為であるとして名義預金となります。

 

土地の名義

 

被相続人が購入資金を拠出した不動産、上場株式・貸付信託や証券投資信託の受益証券等や先代名義のままになっている財産も、名義にかかわらず相続税の申告に含める必要があります。 ところで登記に関しては、2024年4月1日以降、相続の際には不動産の名義変更(相続登記)が義務化されることになりました。義務化の施行以前に発生した相続でも、相続登記がされていない土地は対象となります。そのため、先代の土地を放置していた場合にも同様に申請が必要です。過料として最大10万円の支払いを命じられる可能性があるので注意が必要です。

 

まとめ

 

相続税の税務調査では、職歴や、財産形成の経緯や資産の管理状況等を聞かれ、預金通帳の過去の履歴や、権利書、契約書、自宅の金庫や銀行の貸金庫も確認を求められます。被相続人だけでなく相続人やその配偶者、孫のものについても調べられます。したがって、被相続人から相続人にお金を渡すときは、きちんと贈与契約書を結び証明を残しておく、また、自分の収入や自分が得た財産に関する情報も、できるだけ残しておいたほうがいいでしょう。たとえば、専業主婦(夫)の方でも、自分名義の預金が「独身の頃の収入」「パートで貯めたお金」「実家からの相続」といった内容であれば、名義預金の疑いを避けられます。そのためにも、源泉徴収票、実家から相続したときの遺産分割協議書、自分名義の財産に関わる書類は、できるだけ保管しましょう。そして、家族個々人の財産が混ざらないように、書類を整理しておくことが大切です。

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